市況研究社

トウモロコシ相場 ブラジル産の玉不足

【2019年11月25日】 当社は10月11日の「日報」で、日本や韓国の2020年1-3月期の飼料用トウモロコシ調達価格が「トンあたり200ドル以下」に下げると展望し、シカゴ(CBOT)2019年12月限「3.70ドル以下」、2020年3月限「3.80ドル以下」を目指すと記しました。

しかしながら、実際の現実はもっと複雑で、先週の相場でシカゴ(CBOT)2019年12月限「3.70ドル以下」、2020年3月限「3.80ドル以下」に下げたあとも、2020年1-3月期の飼料用トウモロコシの調達価格は「トンあたり200ドル以上」で推移している。

(1) 日本などが「ブラジル産飼料用トウモロコシ」の大量買い付け国になった
(2) アジアの飼料需要が「ブラジル産」にシフト
(3) ブラジル産の需要増大に対して、2020年1-2月の売出数量が不足
(4) ブラジルの輸出積み出し港でFOBベーシス、フラット価格が上昇
(5) アルゼンチン産トウモロコシや米ガルフ(#4)が選択肢に浮上
(6) 韓国は黒海/東欧産トウモロコシを購入

「米ガルフNo. 4が15セントのディスカウントなら、ブラジル産のオファに不足するなかで日本が購入を考える」とする観測記事があった。「米ガルフNo. 4」と比較すると「アルゼンチン産トウモロコシ」の方が品質が良い。しかし、アルゼンチンは船積みや航路が遅れる場合があり、日本のコーンスターチ会社にとっては「子実がtoo hard」という指摘があった。

アジア需要がブラジル産トウモロコシの大量買い付けにシフトしたことで、2020年1-2月のオファに不足するようになり、ブラジルのFOBベーシスが上昇するなかで、「米ガルフのNo. 4」とか「アルゼンチン産」とか、悩ましい問題が台頭している。物事はそう簡単ではないことを表している。まず、国際穀物理事会のデータ、その次にアメリカ穀物協会のデータを下に記します。市況研究社としてはこれらのデータを手掛かりにしています。

国際穀物理事会(IGC)のデータ

国際穀物理事会(IGC)は,国際穀物協定(International Grains Agreement, 1995)を構成する二つの法的文書の一つである「穀物貿易規約」(穀物貿易に関する国際協力を促進)の運用機関であり,1995年に国際小麦理事会を改組して設立。世界の主要な穀物輸出国及び穀物輸入国が加盟(計26か国+EU)。穀物の貿易と国際協力を促進し,国際穀物市場の安定に寄与することを目的とする。穀物の生産量(生育状況を含む)や穀物の貿易に関連する市場情報のみならず,穀物生産・消費・在庫・貿易等に関する各国政府の施策やその変更等に関しても情報交換を行う。

IGCは穀物(油糧種子を含む)の主要輸出国及び主要輸入国の政府が加盟し,全世界の穀物貿易に関する情報収集を通じて穀物市場の安定等を図ることに重点を置く唯一の機関であり,幅広い情報収集及び情報分析を継続的に実施している。各国政府が適切に穀物需給に関連する情報をIGCに提供することにより,情報の精度を高め,さらに,自国の穀物貿易に関連する法令の変更を当該機関に通報することで,情報の透明性を維持していることが高く評価されている。我が国も食料安全保障の現状把握,及び政府内の資料作成においてIGCの分析及び発表数値を利用している。

IGCのデータ収集・分析対象は,穀物の需給,穀物相場を中心に,穀物の貿易価格に多大な影響を与えるフレート(外航船の運搬料)の分析,及び長期的な相場トレンドを示すインデックス管理の分析も行っており,穀物需給に間接的に影響する要素まで情報収集・分析範囲を拡げている。

IGCの実施している分析は加盟国政府や各種外部資料を基に実施しているが,民間企業を関与させないことにより,内容の独立性を確保している。なお,世界の穀物需給において中国の状況把握が重要であり,同国の情報は概して入手し難いが,2016年6月に開催したカンファレンスには中国の政府機関からの出席を得て,同国の現状に関する情報収集も行うことができた。IGCは収集・分析したデータや情報を,加盟国政府関係者に対してメールで発信し,ホームページ上で共有している。相場情報の一部については一般にも公開している。

●国際穀物理事会(IGC)の輸出価格データ

Export Prices(フラット価格、米ドル/メトリックトン)
     米ガルフ   ブラジル産飼料用  アルゼンチン産飼料用
     No. 3     Paranagua港    Up River
11/22
11/21    171      175       168   
11/20    170      174       167
11/19    171      175       168
11/18    170      170       164

11/15    171      171       166
11/14    173      173       167
11/13    173      172       165
11/12    174      172       166
11/11    171      171       163

11/08    173      172       163
11/07    172      172       163
11/06    173      172       165
11/05    174      172       165
11/04    174      171       166

11/01    177      174       166

トウモロコシの等級とその要件

シカゴ(CBOT)トウモロコシの標準品は「No. 2」です。米国のデータはほとんどすべて「No. 2」を表示しています。一方、国際穀物理事会(IGC)は飼料用トウモロコシについて「No. 3」を表示しています。

トウモロコシの等級を決定する特性は容積重、熱損傷、総損傷、および破損粒&混入異物(BCFM)です。公的な等級証明書には水分含有量が記載されていますが、試料の等級を決定する際に水分含有量は考慮しません。

トウモロコシの等級と要件
         1ブッシェルあたり         破損粒と異物
         最低容積重  熱損傷   総損傷   BCFM
米農務省穀物検査規格(ポンド)  %     %     %
U.S. No. 1      56.0    0.1    3.0    2.0
U.S. No. 2      54.0    0.2    5.0    3.0
U.S. No. 3      52.0    0.5    7.0    4.0
U.S. No. 4      49.0    1.0    10.0    5.0
U.S. No. 5      46.0    3.0    15.0    7.0

総損傷率
総損傷率とは、熱損傷、霜害、害虫穴、損傷芽、病害や気象による損傷、土による損傷、細菌による損傷、カビによる損傷を含め、どのようなかたちであれ、目視で見つけることのできる被害や損傷のあるトウモロコシ粒および穀粒のかけらの割合です。こうした損傷の大半は一種の退色や穀粒の質感の変化というかたちで現れます。割れていること以外に外見上の異常が見られない穀粒のかけらは損傷粒に含まれません。一般に、生育期または保管期間中の水分含有量や温度が高いとカビによる被害が発生します。損傷要因の中でも、カビによる損傷およびそれに伴うマイコトキシンの可能性は最も深刻な問題です。カビによる損傷は収穫前にも発生することがありますが、出荷前の高湿高温下での一時的な保管期間中にも発生する可能性があります。

破損粒&混入異物(BCFM)
破損粒&混入異物(BCFM)は飼料や加工に用いることのできるクリーンなトウモロコシ粒の量を測る目安になります。BCFMの値が低いほど試料中に混入した異物や破損粒も少ないことを示しています。

異物(FM)とは、開き眼12/64インチの篩を通過しない大きな物質でトウモロコシ以外のもの、かつ、6/64インチの篩を通過する小さいすべての物質と定義されています。破損粒(BC)は開き眼12/64インチの篩を通過するほど小さく、6/64インチの篩は大きすぎて通過しないものすべてと定義されています。通常、農場から運ばれてきたトウモロコシから採取した試料の中でBCFMの値が高いものは、コンバインの設定または農場の雑草の種にその原因を見いだすことができます。

採用する方法やトウモロコシ粒の安定性によっても異なるが、通常BCFM値は乾燥過程や取扱中に上昇する。

破損粒(BC)は完全粒よりもカビや害虫の被害を受けやすく、取扱中や加工中に問題を引き起こすことがある。貯蔵大型ビン内で拡散したりかき混ぜたりしない場合は、破損粒はビン内の中央にたまりやすく、完全粒は外縁に引き寄せられる傾向がある。この現象は穀物業界では「スパウトライン」として知られている。常にというわけではなくても多くの場合、このスパウトラインは中央の引き出し口から穀物を引きだすことで解消する。

異物(FM)は飼料や加工ではほとんど価値がなく、一般にトウモロコシよりも水分含有量が高く、そのため保管中のトウモロコシを劣化させる可能性があるという点を重視する必要がある。FMはスパウトラインにも関与しており、上に述べたように水分量が多いためにBCよりもさらに深刻な問題となる。

●アメリカ穀物協会(U.S. Grains Council)の輸出価格データ

2019年11月21日(木)
米農務省穀物検査規格No. 2
黄トウモロコシ FOB Vessel(米ドル/メトリックトン)
         米ガルフ          米PNW(太平洋北西岸)
水分含有量    ベーシス フラット価格   ベーシス フラット価格
Max 15.0%    #2 YC   #2 YC       #2 YC  #2 YC
12月(2019)  0.67+Z  $171.25     1.16+Z  $190.54
01月(2020)  0.63+H  $174.01     1.17+H  $195.07
02月(2020)  0.66+H  $174.99     1.18+H  $195.46

※Z(2019年12月限)、H(2020年3月限)

週末11月22日のニュースは、ブラジル産の2020年1-2月のオファが不足していること。日本が「米ガルフ No. 4」と「アルゼンチン産」を検討しているというものであった。