市況研究社

トウモロコシ相場 全米在庫と需給見通し

【2020年1月14日(火)】 米農務省は週末1月10日に発表した「全米四半期在庫」と「月次需給見通し」において、細かい変更は多くありますが、主として2箇所を大幅に改定した。

(1)2019年9月1日時点の全米在庫を改定し、「2018/2019市場年度」の期末在庫を「+1億0632万ブッシェル」(=約270万トン)引き上げた。
(2)2019年12月1日時点の全米在庫と辻褄を合わせるために「2019/2020市場年度の米国内飼料需要」を「+2億5000万ブッシェル」上方修正した。

2019年の米国トウモロコシの生産高

米国トウモロコシの生産高は、年明け1月の米農務省発表で「ほぼ確定する」のが通例です。しかしながら、昨年(2019)の米国トウモロコシは作付時期が「4月~7月4日米独立記念日」に長期化したことで、その生育時期も後ズレし、収穫も自然乾燥が遅れて11月にズレ込み、12月1日になっても「ノースダコタ」や「サウスダコタ」、「ミシガン」や「ウィスコンシン」で未収穫の田圃を残していた。

米農務省発表「米国トウモロコシの収穫進捗率」
               収穫進捗率
主要州     収穫面積   12/1(2019) 12/8(2019)
アイオワ    1320万     92%     95%
イリノイ    1080万     93%     96%
ネブラスカ    965万     96%     98%
ミネソタ     750万     91%     93%
インディアナ   530万     93%     96%
サウスダコタ   432万     80%     83% 
ノースダコタ   345万     36%     43% 
ミズーリ     320万     95%     98%
オハイオ     305万     90%     93%
ウィスコンシン  280万     66%     74% 
ミシガン     195万     66%     74% 

2019年12月1日時点で、未収穫のトウモロコシを多く残していたなかで、米農務省は「農場在庫」そして「全米在庫」をどのように集計したのだろうか?

当社では、「12月1日時点の農場在庫の少なさ」から見て、12月1日時点で未収穫の米国トウモロコシは、農場在庫に計上されていない可能性が高いと考えています。

2019年9月1日時点の全米在庫

2019年9月1日時点の全米在庫は「2018/2019市場年度の期末在庫=2019/2020市場年度の期初在庫」を意味します。

今回の発表で、9月30日発表の「9月1日時点の全米在庫」を大幅に改定し、「2018/2019市場年度」の期末在庫を「+1億0632万ブッシェル」(=約270万トン)引き上げた。これほどの数字の操作をかつて見たことがない。

2019年9月1日時点の全米在庫
           農場在庫      非農場在庫      全米在庫
2020年1月10日発表  8億1410万0千bu.  14億0664万9千bu.   22億2074万9千bu.
2019年9月30日発表  7億5330万0千bu.  13億6113万2千bu.   21億1443万2千bu.

「在庫」を改定すると、その間の「消費量」の修正をともなうので、米農務省は「米国内の飼料需要」をいじって辻褄を合わせようとします。

「2018/2019市場年度」は昨年(2019)8月31日に終了していますが、米農務省は年度が終わってからも「2018/2019市場年度の米国内の飼料需要」を大きく修正しています。「米国内の飼料需要」はいまだにローラコースターです。

米国内の飼料需要 米農務省の「2018/2019市場年度」予想履歴
発表月     2018/2019年度の米国内の飼料需要
2020年01月予想    54億3200万bu.
2019年12月予想    56億1800万bu.
2019年11月予想    56億1800万bu.
2019年10月予想    56億1800万bu.
2019年09月予想    52億7500万bu.
2019年08月予想    52億7500万bu.
2019年07月予想    52億7500万bu.
2019年06月予想    53億0000万bu.

米国トウモロコシの需要

米農務省が今回1月10日に発表した「全米在庫」によれば、「2019年9月1日~同年11月30日」の米国トウモロコシ消費量は「45億2349万5千bu.」となり、それは前年同期(2018年9月1日~同年11月30日)の消費量「45億4353万7千bu.」とほぼ同じです。

「2019年9月1日~11月30日」の米国エタノール生産が前年同期を下回り、「2019年9月1日~11月30日」の米国トウモロコシ輸出も前年同期と比較して半減しているなかで、その期間の消費量が「ほぼ同じ」・・・そんなことがあり得るだろうか?

米国トウモロコシの全米在庫と「期間の消費量」

        農場在庫  非農場在庫    全米在庫    期間の消費量
12/01(2019) 71億7800万 42億1081万5千 113億8881万5千  45億2349万5千bu.
2018年生産高 136億9156万1千ブッシェル

09/01(2019)  8億1410万 14億0664万9千  22億2074万9千  29億8148万7千bu.
06/01(2019) 29億4960万 22億5263万6千  52億0223万6千  34億1097万0千bu.
03/01(2019) 51億3100万 34億8220万6千  86億1320万6千  33億2359万2千bu.
12/01(2018) 74億5100万 44億8579万8千 119億3679万8千  45億4353万7千bu.
2018年生産高 143億4000万0千ブッシェル

09/01(2018)  6億2000万 15億2033万5千  21億4033万5千  31億6446万9千bu.
06/01(2018) 27億5010万 25億5470万4千  53億0480万4千  35億8732万2千bu.
03/01(2018) 50億0200万 38億9012万6千  88億9212万6千  36億7437万5千bu.
12/01(2017) 77億3900万 48億2750万1千 125億6650万1千  43億3580万2千bu.
2017年生産高 146億0900万0千ブッシェル

米農務省は、この辻褄を合わせるために「米国内の飼料需要が予想以上に旺盛」と理由付けて、「2019/2020市場年度の米国内の飼料需要」を「12月予想 52億7500万bu.」から「1月予想 55億2500万bu.」に引き上げた。

米農務省はデータの操作や辻褄合わせが日常的です。米農務省は常に「米国内の飼料需要」をいじっています。その辻褄合わせのために「米国内の飼料需要」をいじって操作しても、全体の姿が歪んでいるので、再び改定を繰り返えすことになると思います。

実事求是(事を実にして是を求む)

2019年12月1日時点で、未収穫のトウモロコシを多く残していたなかで、米農務省は「全米在庫」をどのように集計したのだろうか?

米国エタノール生産は「2019年9月1日~11月30日」、前年同期を下回り、米国トウモロコシ輸出も前年同期比半減していたなかで、その期間の消費量が「ほぼ同じ」・・・そんなことがあり得るだろうか?米農務省はとくに昨年来、いいかげんな発表を繰り返していると思います。

※2020年1月14日の「市況研究社日報」(穀物)を読みやすいように、記述の順序などを改善しています。