市況研究社

トウモロコシ相場 米農務省の見通し

更新日: 2020年5月13日(水)

当社「日報」では、「オマハ-カウンシルブラフス」のベーシス水準が上昇しているときは、いかに相場の地合いがいかに弱く見えようと、シカゴ(CBOT)先物の下値は限定されているので、売りの目標が立てづらい。ここ約1カ月は、売りを手仕舞いしておくのが順当とお伝えしてきました。投資玉は、おカネが入ってきていない市場に近づくことはありません。

韓国の配合飼料会社のグループはそろって4月に「10月入着玉」まで大量の手配を進捗させた。5月6-7日にも「10月入着玉」を手配した。おそらく韓国の「9-10月入着玉」はブラジル産トウモロコシだろうと思います。

米農務省の需給見通しについて

当社では、米農務省はトランプ政権の役所として、目標にする需給バランスがあると考えています。つまり、米農務省が発表する「需給バランス」は無色透明の中立材料ではなく、トランプ政権の政策意図を反映し、それとの辻褄合わせに腐心している。

米農務省の需給見通しを判断するとき、漠然と前回予想より「増えた」「減った」が問題になるのではなく、2月アウトルックとの比較が重要です。本年2月のアウトルック・フォーラムから昨夜5月12日の「需給予想」に至る2カ月余りは、米農務省が「新型コロナウイルスの影響」をどのように考え、米国内の需要をどのように推定し、そして、国際市場においてブラジルやウクライナなどとの競争をどのように描いているのか、その予想の試行錯誤が数字に表れているからです。

米農務省が昨夜の需給予想で、どこを弄(いじ)って数字の辻褄合わせをしたのか? どこに無理があるのか? 2月アウトルックと比較することによってわかります。米農務省は「米国内のエタノール需要」と「飼料需要」を弄(いじ)っています。

現行年度2019/2020市場年度について

       2019/2020年度     2019/2020年度
       2月アウトルック →   5月12日予想
        2019          2019
作付面積    8970万a.    →    8970万a.
収穫面積    8150万a.    →    8140万a.
反収      168.0bu.     →    167.8bu.
生産高    136億9200万   →   136億6300万
期初在庫    22億2100万   →    22億2100万
輸入        5000万   →      4500万
総供給量   159億6200万   →   159億2800万    -3400万減少
飼料      55億2500万   →    57億0000万  +1億7500万増加
エタノール   54億2500万   →    49億5000万  -4億7500万減少
その他     13億9500万   →    14億0500万    +1000万増加
米国内需要  123億4500万   →   120億5500万  -2億9000万減少
輸出      17億2500万   →    17億7500万    +5000万増加
総需要量   140億7000万   →   138億3000万  -2億4000万減少
期末在庫    18億9200万   →    20億9800万  +2億0600万増加
農家平均価格   $3.85/bu.   →    $3.60/bu.   -25セント安

来年度2020/2021市場年度について

       2020/2021年度  →   2020/2021年度
       2月アウトルック →   5月12日予想
        2020            2020
作付面積    9400万a.    →     9700万a.   +300万エーカー
収穫面積    8660万a.    →     8960万a.   +300万エーカー
反収       178.5bu.    →     178.5bu.
生産高    154億6000万   →   159億9500万   +5億3500万
期初在庫    18億9200万   →    20億9800万   +2億0600万
輸入        2500万   →      2500万
総供給量   173億7700万   →   181億1800万   +7億4100万
飼料      58億0000万   →    60億5000万   +2億5000万
エタノール   54億5000万   →    52億0000万   -2億5000万
その他     13億9000万   →    14億0000万     +1000万
米国内需要  126億4000万   →   126億5000万
輸出      21億0000万   →    21億5000万     +5000万
総需要量   147億4000万   →   148億0000万     +6000万
期末在庫    26億3700万   →    33億1800万   +6億8100万
農家平均価格   $3.60/bu.   →    $3.20/bu.   -40セント安

(1) 今年度(2019/2020市場年度)は、新型コロナウイルスの影響で、ガソリンに混合して使用する「燃料油=エタノール需要」を大幅に引き下げた。その一方で、今年度の米国内飼料需要は「+1億7500万ブッシェル」も引き上げた。米農務省の「需給見通し」担当者は昔から「米国内飼料需要」を弄って、数字の辻褄合わせをする慣習があります。

(2) 米国の畜産業は、幅広い裾野(すその)が広がっている。零細事業者や自家消費などは米国畜産統計から漏れており、厳密に「米国内飼料需要」を推定するのは困難です。したがって、米国内の飼料需要は主として四半期ごとの「全米在庫」から、後付けで推定するのが通例です。

(3) 来年度(2020/2021市場年度)については、2月アウトルックと比較して「米国内のエタノール需要を-2億5000万ブッシェル」引き下げ、その分「米国内の飼料需要を+2億5000万ブッシェル」引き上げた。飼料需要の「2億」「3億」の増減に意味はない。全体の印象を緩和するための数字の操作です。

(4) 現在は、2020/2021市場年度の作付けがおこなわれており、反収を左右する天候はこれからです。そもそも5月予想で、厳密な予想を描くことなどできない。「米国内の飼料需要」についても今日明日、すぐにわかる話ではなく、3カ月、6か月と時間をかけて、とくに「全米在庫」を通して推定する必要があります。そのあいだは、米国内飼料需要について一方的な希望的観測であっても許容される。それゆえ米農務省は常に「飼料需要」を弄(いじ)っているわけです。米農務省の需給予想はその程度のものです。

米農務省予想より、現実の足もとのベーシスを見る方が重要です。