市況研究社

トウモロコシ相場 予想以上の在庫量

更新日: 2020年7月1日(水)

全米在庫や作付面積について、今は確認しておくだけで十分です。

トウモロコシの全米在庫

米農務省は6月11日に発表した需給見通しで本年(2020)9月1日の在庫を「21億0300万ブッシェル」と予想した。それは「2020/2021市場年度の期初在庫」を意味する。しかしながら、米農務省が昨夜発表した6月1日時点の「全米在庫」は「52億2366万4千ブッシェル」もあった。

これは単純な引き算の問題です。

6月1日時点で「52億2366万4千ブッシェル」の在庫を、9月1日に「21億0300万ブッシェル」に減少させるためには、6月1日~8月31日の期間に「31億2066万ブッシェル」を消費しなければならない。本年6月1日~8月31日に「31億2066万ブッシェル」を消費することは可能だろうか?

これから7、8月の2カ月間で、米国のエタノール生産が前年同期以上の処理量にならないかぎり難しい。「2019/2020市場年度の米国トウモロコシの期末在庫」=「2020/2021市場年度への繰越在庫」は、22億を遥かに超して積み上がると思います。

全米在庫と四半期ごとの消費量(単位:ブッシェル)
米国トウモロコシ
        農場在庫  非農場在庫    全米在庫    期間の消費量(当社推定)
単位ブッシェル
06/01(2020) 30億2500万 21億9866万4千  52億2366万4千  27億2750万8千
03/01(2020) 44億5400万 34億9717万2千  79億5117万2千  33億7616万6千
12/01(2019) 71億0300万 42億2433万8千 113億2733万8千  45億1067万2千
2018年生産高 136億1726万1千ブッシェル
09/01(2019)  8億1410万 14億0664万9千  22億2074万9千  29億8148万7千
06/01(2019) 29億4960万 22億5263万6千  52億0223万6千  34億1097万0千
03/01(2019) 51億3100万 34億8220万6千  86億1320万6千  33億2359万2千
12/01(2018) 74億5100万 44億8579万8千 119億3679万8千  45億4390万6千
2018年生産高 143億4036万9千ブッシェル
09/01(2018)  6億2000万 15億2033万5千  21億4033万5千  31億6446万9千
06/01(2018) 27億5010万 25億5470万4千  53億0480万4千  35億8732万2千
03/01(2018) 50億0200万 38億9012万6千  88億9212万6千  36億7437万5千
12/01(2017) 77億3900万 48億2750万1千 125億6650万1千  43億3620万9千
2017年生産高 146億0940万7千ブッシェル
09/01(2017)  7億8700万 15億0630万3千  22億9330万3千  29億3577万9千
06/01(2017) 28億4140万 23億8768万2千  52億2908万2千  33億9291万0千
03/01(2017) 49億0800万 37億1399万2千  86億2199万2千  37億6147万9千
12/01(2016) 76億1100万 47億7247万1千 123億8347万1千  45億0162万5千
2016年生産高 151億4803万8千ブッシェル

上の表をもっとわかりやすく表示します。

四半期ごとの消費量(単位:ブッシェル)
期間      2017/2018年度  2018/2019年度  2019/2020年度
6/1- 8/31   31億6446万9千  29億8148万7千 ※31億2066万4千を超せるか?
9/1- 5/30   35億8732万2千  34億1097万0千  27億2750万8千
12/1-2/29   36億7437万5千  33億2359万2千  33億7616万6千
9/1-11/30   43億3620万9千  45億4390万6千  45億1067万2千

本年(2020)6月1日~8月31日の期間に、米国トウモロコシを「31億2066万4千ブッシェル」消費できるだろうか?そうでなければ、米国トウモロコシの「2019/2020市場年度の期末在庫」は22億を遥かに超して積み上がる。

米国のエタノール生産(単位:日量、バレル)
月     2019    2020
8月    103.0
7月    105.0
6月    106.3
5月    104.7
4月    103.2    56.5
3月     99.7    94.9
2月    102.1   105.2
1月    101.9   107.6

米国トウモロコシの作付面積

米国トウモロコシの作付面積は、3月の意向面積と比較してその「約95%」にとどまった。

単位:万エーカー
州     3月意向面積     6月作付面積
アイオワ    1410.0   →  1400.0
イリノイ    1130.0   →  1090.0
ネブラスカ   1050.0   →   980.0
ミネソタ     840.0   →   810.0
カンザス     630.0   →   610.0
サウスダコタ   600.0   →   540.0
インディアナ   580.0   →   540.0
ウィスコンシン  390.0   →   400.0
オハイオ     370.0   →   360.0
ミズーリ     360.0   →   350.0
ノースダコタ   320.0   →   240.0
テキサス     270.0   →   240.0
ミシガン     250.0   →   230.0
全米合計    9699.0   →  9200.6

(1)反収200ブッシェルの優良地は、3月意向面積に近い作付けをしている。米国中西部の優良地といわれるところは、3月の営農計画に沿って4-5月の作付けをしている。
(2)3月意向面積よりとくに少ないのはです。
(3)3月意向面積からトウモロコシの作付けが減少した分、大豆へ転換したのかと調べてみると、事前に取り沙汰されたほど大豆の作付けは増えていなかった。

当社「日報」では毎週、イリノイ・ファームビューローの「クロップウォッチャーズ・リポート」をお伝えしていますが、そのなかで「トウモロコシから大豆に切り替える農家がある」ことは報告されていたものの、それは一部であって、広範に発生していたわけではなかった。本年(2020)の作付けにおいて、米国生産者にそこまでの意欲はなかったと思います。

コモディティ・バブルは終わっている

当社では、本年(2020)のシカゴ(CBOT)先物の取組高と出来高が、平年の季節平均を下回っていることをお伝えしましたが、米国生産者も同じだろうと思います。

つまり、シカゴ(CBOT)先物で建玉が減少しているように、作付けも「ひと伸び」がなかった。
コモディティ・バブルに踊っていたときなら、米国生産者は限界まで作付けを増やしたと思いますが、今はそうではない。勤労意欲や作付け意欲があっても、実際の最終段階で伸びに欠けると思います。

「オマハ-カウンシルブラフス」のベーシス

穀物市場では、米農務省発表を「需給」の手掛かりにする向きが多い。

しかし、当社では米農務省の数字は「役所が公表する需給材料」であって、需給そのものでないと考えています。われわれが需給そのものを察知しようとすれば、ベーシスを見る以外にない。

供給地から需要地に至る各段階でベーシス水準があり、感度のよいものもあれば、そうでもないものもある。その中で、経験的に「オマハ-カウンシルブラフス」のベーシス水準に指標性があると感じてきました。当社では、シカゴ(CBOT)トウモロコシ先物を分析するとき「オマハ-カウンシルブラフス」のベーシス水準を感度のよい指標にしています。

「オマハ-カウンシルブラフス」のベーシス
#2 黄トウモロコシ
     N=2020年7月限
日付   シカゴ基準限月  オマハ現物   ベーシス

※当社「日報」では4月下旬以降、トウモロコシの売りは手仕舞いし、おカネが入ってきていない市場に近づくことはないとお伝えしています。