市況研究社

原油相場 2019年7月10日(水)


本日7月10日(水)の東京時間午前5時30分、アメリカ石油協会(API)は「7月5日時点の米国原油在庫が約810万バレル減少」と発表した。

それを受けて、原油相場は午前5時30分から短期筋の買いなどで反発しています。ちょうど、2週間前の「6月27日(水)」と同じです。

当社では、6-8月に米国原油在庫が減少するのは<当たり前>とお伝えしてきました。この時期の原油在庫減少は当たり前であり、買い材料になるわけがありません。

この点は、当社「日報」で何度か、繰り返しお伝えしてきました。「米国原油在庫の減少」を手掛かりにした買いは、目の前の印象分布を過大評価した思惑であるため、持続的な要素にはなりません。もう一度、説明します。

石油会社の一連の生産活動

米国原油在庫は1-5月に増加したあと、6-8月に減少します。米国製油所の春季定修(メンテナンス)が終わり、6-8月は夏季需要の石油製品を生産するために製油所の稼働率が上昇するからです。米国製油所の原油処理量が「日量1700万バレル以上」に増加するので、この時期の原油在庫は減少します。

石油会社は、季節的に想定される石油製品需要ならびに販売数量をもとに、最適な石油製品の生産パターンを策定し、現状の在庫バランスを考慮して調達原油の油種と数量、購入時期を決め、生産計画を立てます。

生産計画の策定を行なうにあたっては、(1)需要予測に基づく販売計画数量,販売価格および物流・販売コスト、(2)精製装置能力および精製コスト、(3)処理原油の供給可能数量、油種/性状および購入コストといった諸要素を外生変数としてモデルに与え、最適生産パターンを算出すると言われます。

それぞれ石油会社は、策定した最適生産計画に基づき、原油購入から各製油所における実際の精製処理に至る一連の生産活動を行なっています。1年以上の中長期の計画、当月ごとの短期の点検もおこなわれています。

よほどの突発的な事案が発生しないかぎり、おおよそのことは前もって予知し、生産計画を立て、点検しながら生産活動を続けています。6-8月は米国製油所の稼働率上昇し、原油処理量が増加するので、米国原油在庫は減少します。今年も来年も繰り返していくことです。当たり前のことが「買い材料」になるとは思いません。

米当局の見通し

昨夜、米EIAが月例の「2019-2020年の見通し」を発表したので下に記します。

米国で原油増産が続いています。米国の原油増産は、今年も来年も続きます。ガソリンなど石油製品には、季節的な要素、季節的な習性があります。さらに製油所の定期修理(メンテナンス)や稼働率、原油処理量も季節的に変動していることがわかると思います。6-8月は原油在庫が減少する時期です。

<米EIAの見通し(単位:バレル)※青字は予想

     米国原油生産   米国原油処理量   米国原油在庫
      日量平均     日量平均      月末

12月 2020  1364万     1783万     4億8650万
11月 2020  1362万     1753万     4億9510万
10月 2020  1340万     1729万     4億9370万
09月 2020  1346万     1775万     4億7940万
08月 2020  1334万     1811万     4億7850万
07月 2020  1321万     1818万     4億8150万
06月 2020  1321万     1819万     4億9330万
05月 2020  1321万     1803万     5億0620万
04月 2020  1309万     1779万     5億0370万
03月 2020  1302万     1723万     5億0090万
02月 2020  1296万     1670万     4億8800万
01月 2020  1293万     1691万     4億7730万

12月 2019  1292万     1751万     4億7100万
11月 2019  1293万     1690万     4億7770万
10月 2019  1272万     1628万     4億7580万
09月 2019  1266万     1689万     4億6100万
08月 2019  1256万     1744万     4億5740万
07月 2019  1244万     1750万     4億5900万 ●現在時点
06月 2019  1219万     1728万     4億6750万
05月 2019  1221万     1673万     4億8360万
04月 2019  1216万     1634万     4億6880万
03月 2019  1192万     1594万     4億5930万
02月 2019  1168万     1584万     4億5170万
01月 2019  1186万     1679万     4億4880万

12月 2018  1196万     1741万     4億4180万
11月 2018  1193万     1715万     4億4860万

当社の立場と意見

当社では、6-8月の米国原油在庫減少は<当たり前>と考えています。

そして、現在の原油相場はひとつの<レンジ相場>を模索している可能性が高い。国際原油取引の指標である「ブレント原油期近9月限」で言えば「62.50ドル~65.00ドル」のレンジ相場と考えています。

ブレント期近で「62.50~65.00」のレンジ相場です。本年2-3月相場のような「中東サワー原油」の割高さも是正してきたので、オマーンやドバイの指標はそれより安い。