市況研究社

原油相場 2019年7月25日(木)

国際原油取引の指標はブレント原油です。

7月10日に「米メキシコ湾に熱帯低気圧が発生する」という予報がでたとき、ブレント原油期近9月限は「67ドル台」に上伸したが、その通過後はもとの「62.50-65.00ドル」レンジに回帰しています。

当社「日報」では、6~8月の原油は<レンジ相場>を模索すると考えていました。ブレント原油期近9月限「62.50~65.00ドル」、このレンジで相場は落ち着くと想定しています。ブレント原油期近の「62.50~65.00ドル」レンジは来月も続く公算が大きい。

米メキシコ湾の原油生産

米国の原油生産(2019年7月時点の生産能力)
米国生産総計  アラスカ  メキシコ湾   内陸48州
1244万バレル  39万バレル 194万バレル  1011万バレル

7月第2週の熱帯低気圧発生で、米国の原油生産は「米メキシコ湾」を中心に影響を受けた。

米メキシコ湾では「日量100万バレル以上」が停止した。洋上プラットフォームなどの従業員は、熱帯低気圧が発生してから避難するのでは遅いので、発生する前に洋上施設から退避する。熱帯低気圧が通過したあと、従業員が職場に復帰するにも時間がかかる。施設に戻って、それぞれ点検し、操業再開に向けた準備にも時間が必要です。

個人的な経験と記憶で言えば、米メキシコ湾の原油生産施設は「操業を止めてから復旧するまで」、予想以上に日数がかかることがあり、また、想像していたよりも操業停止の範囲と規模が大きいことがよくあります。陸上の「パイプライン」事故や「パイプライン」への破壊活動は「2週間」程度で再開しますが、メキシコ湾の操業停止は意外に時間がかかることがあります。

昨夜の米国石油統計

米国原油生産は、米メキシコ湾で減少していました。

1日あたり100万バレルの減少は、1週間で「100×7=700万バレル」の原油在庫の減少要因になります。しかし、原油掘削施設などに被害がなかったので、生産活動が拡大して行くことに変わりはありません。

単位:1日あたりバレル
2019年7月24日発表
Source: U.S. Energy Information Administration

週          米国原油生産
07/13-07/19(19)   1130万0千バレル  -70万バレル
07/06-07/12(19)   1200万0千バレル  -30万バレル
06/29-07/05(19)   1230万0千バレル
06/22-06/28(19)   1220万0千バレル

米国原油在庫の減少

例年、米国製油所の原油処理量は6-8月に「日量1700万バレル以上」に増加します。このため6-8月の米国原油在庫は減少します。この時期の原油在庫減少は当たり前のことであって、買い材料になるわけではない。さらに8-10月は熱帯低気圧の影響を受ける。こうしたことも事前に想定されています。

7月19日時点の米国原油在庫の減少は「驚き」(サプライズ)ではありません。

昨日24日(水)は「アメリカ石油協会が発表した米国原油在庫の減少」だけでなく「米中貿易協議の進展期待」や「イラン情勢」などを取り沙汰し、「原油買い」を喧伝する向きがあった。

「米中の貿易協議」を相場の材料にするのであれば、その進展を実際に確かめてからでよいと思います。つまり、本当に前進しているのであれば、米国債の利回りや外為市場など、他のデータでもその兆候が確認できるはずです。米国債の利回り(金利指標)にあたらしい動きがないのに、原油相場が「米中協議の進展期待」を先取りすることはあり得ないと思います。

      米国原油在庫   減少幅
7月19日  4億4504万1千  -1083万5千バレル
7月12日  4億5587万6千   -311万6千バレル
7月05日  4億5899万2千   -949万9千バレル
6月28日  4億6849万1千

揉み合い

当社「日報」では、ブレント原油期近は「62.50-65.00ドル」レンジで落ち着くとお伝えしました。

当社では、6~8月原油は「レンジ相場」と想定して分析します。

このところ、オマーン原油期近9月限(DME)など「中東サワー原油」の指標が納会前にブレント原油との価格差を詰めて上振れしているのが気になりますが、当面の原油はヨコに揉み合うと考えています。