市況研究社

原油相場 応分の反発を予期する

更新日: 2020年3月19日(木)

昨日3月18日(水)の「日報」で、<ここは売るところではない>とお伝えしました。

当社では、今回の<米ドルキャッシュを確保するための手仕舞い売り>は3月9日(月)に始まったと考えており、3月18日(水)はその「第8営業日」にあたり、一つのサイクルの節目と想定しました。

それと同時に、米国では「富裕層を除く全体世帯に定額給付」を含む経済対策が詰められており、このあと市場の雰囲気が変わると予想したからです。

したがって、本日3月19日(木)も昨日と同じです。新規に売りを仕掛けるタイミングではないと思います。むしろ、このあと、応分の反発を予期するのが自然です。

話をわかりやすくするために、今朝の「日本経済新聞」から始めようと思います。

「日本経済新聞」2020年3月19日(木曜日)

本日3月19日(木)の「日本経済新聞」21面マーケット総合2に『崩れるリスク回避の円高/金利差より強いドル需要』という古賀雄大氏の作文があります。

見出しだけを見ると、3月3日の三田敬太氏と同様に「ドル円が日米金利差に反応していない」ことを一面的に主張したものとみなされるかもしませんが、読んでみると、3月3日の三田氏よりまともです。当社「日報」と共通した内容を含んでいます。

リード文は次のように記しています。「外国為替市場でこれまでセオリーだった”リスク回避の円高”の構図が崩れている。世界的に株価が乱高下し、円高・ドル安要因とされてきた日米金利差の縮小が進む中でも、円相場は円安水準で安定的に推移している。ここ1カ月ほど高い相関を保ってきた金利差とドル円相場の関係も変調している。背景にあるのは景気先行き不透明感による強いドル需要だ。」

そして、本文では次のように記している。「企業の間では、新型コロナの感染拡大懸念により手元資金を増やす動きが活発になっている。さらに金融機関の間でも、株価の大幅下落に伴う投資ファンドの解約・返金に備える需要が高まっている。」

当社「日報」と共通した内容を含んでいます。

当社の立場と意見

(1) 新型コロナウイルスの感染拡大によって移動が制限されると、企業の生産、流通、販売に甚大な影響があらわれる。事業計画や運用資金が見直される。
(2) 中国の生産、流通はまだ回復していない。日本国内で計画が止まっているところがある。
(3) 企業の事業計画が見直される。年金なども運用資金を見直す。
(4) 株式市場は「昨年(2019)12月~本年(2020)2月」の買い策動が「2月12日-2月21日」に頂点に達し、そのたあと一挙に瓦解したことによって、「3月9日」以降は売りの連鎖が発生している。ファンドは原油の買いでも手仕舞い売りを強要されている。
(5) ファンドは株で殺られ、原油の買いで殺られ、穀物で殺られ、あっちで殺られこっちで殺られしているので、解約・返金に備えて建玉の手仕舞いと現金化が続く。
(6) それは損失が発生している商品だけでなく、利が乗っている商品でも建玉を整理しなければならなくなる。経済見通しが不透明な時期なら買われる可能性の高い商品であっても手仕舞いされる。証拠金を遊ばせておく余裕はなくなる。
(7) それによって、3月9日以降は「米国債」や「金」(ゴールド)などでも手仕舞い売りがひろがった。ファンドの建玉整理と現金化、米ドルキャッシュの需要です。
(8) 米連邦準備制度理事会(FRB)が緊急利下げを繰り返しても、米国債相場は3月9日以降、手仕舞い売りで下げている(=利回り上昇)。米金利上昇によって、米ドル高、円安に戻されている。

企業、機関投資家あるいはファンドは3月9日以降、現金確保(一般的に言えば米ドルキャッシュ)を強いられており、損失が発生している悪いものだけでなく、利が乗っている良いものであっても、あらゆるものが手仕舞い売りで下げる。それは連鎖反応をともなって拡大するので、市場の値動きはボラタイルになる。ボラタイルな動きは手仕舞い売りを促し、ファンダメンタルズから見れば買われるはずのものであっても、買いを維持することができなくなる。

 「昨年(2019)12月~本年(2020)2月」は市場の思惑人気が「買い」の一方向に走り、「2月12日-2月21日」はクライマックスに達した。

クライマックスのあと、市場は瓦解したが、3月9日以降はファンダメンタルズに合致した商品であっても、ファンドの現金化=米ドルキャッシュ確保で一段と手仕舞い売りが拡大している。ファンダメンタルズに逆行する動きがあらわれている。

原油相場を見れば、国際原油取引の指標であるブレント原油(ICE)期近は下げているが、市場内部の限月間価格差は拡大しており、アジア市場のマーカー原油であるドバイやオマーンはブレント原油期近ほど下げていない。ブレントより高値を形成している。このあと応分の反発があると思います。ファンドが建玉を整理し、現金化(=米ドルキャッシュ)に動いたことが3月9日~3月18日の下げ要因であったが、それは将来の価格形成の基準ではありません。

●米国は「1兆ドルの経済支援」へ

当面の焦点として、新型コロナウイルス対策として米国が用意している「経済支援」が市場テーマに浮上する可能性があります。

定額給付などは、市場の思惑人気に働きかけることが考えられます。

当社では、昨日3月18日(水)の「日報」で、ここは売るところではないとお伝えしました。本日3月16日(木)も同じです。

われわれは目の前の印象分布を過大評価してはならない。ファンドが解約に備えて建玉を整理し、現金化に動いたことが3月9日~3月18日の下げ要因であったが、それは将来の価格形成の基準ではありません。行き過ぎたところからは応分の反発があると思います。