市況研究社

原油相場 サウジ販売価格の大幅連続値下げ

更新日: 2020年4月14日(火)

サウジアラビアは「OPECプラス」の減産合意のあと、アジア向け販売価格(各油種の調整項)を想定よりも大幅に引き下げた。当社は、これがサウジアラビアの回答と理解しました。

サウジアラビアを中心とする石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」は日本時間4月13日(月)未明、9日に続いてふたたび緊急テレビ会議を開催し、協調減産の規模を「日量970万バレル」に引き下げて最終合意した。減産合意は5月1日に発効する。6月末までの2カ月間は「日量970万バレル」の減産、それ以降年内は「日量760万バレル」、2021年から2022年4月まで「560万バレル」の減産とする。

この減産合意のあと、サウジアラビアの国営石油会社「サウジアラムコ」は日本時間で昨日13日(月)午後、アジア向け販売価格(各油種の調整項)の連続大幅値下げを通知したわけです。

サウジ原油のアジア向け価格フォーミュラ(4月13日通知)
「DMEオマーン原油とプラッツ・ドバイ原油の1カ月間の平均値」に対する各油種の調整項
サウジ原油の油種   1月   2月   3月   4月   5月    4月比
スーパーライト    +8.45  +7.85  +5.85  +1.85  -3.65   -5.50ドル
エキストラライト   +5.80  +4.60  +2.90  -3.10  -7.40   -4.30ドル
ライト        +3.70  +3.70  +2.90  -3.10  -7.30   -4.20ドル
ミディアム      +2.05  +2.45  +1.95  -4.05  -7.40   -3.35ドル
ヘビー        -0.15  +0.55  +0.55  -4.45  -7.40   -2.95ドル

価格フォーミュラの説明

サウジ原油各油種の期間契約原油のアジア向け輸出価格(FOB)は、「DMEオマーン原油とプラッツ・ドバイ原油の1カ月間の平均値±調整項(OSPs)」という価格フォーミュラで形成される。

たとえば、わが国石油会社がもっとも多く購入しているサウジ原油は軽質サワーの「アラブ・エキストラ・ライト」(AXL)です。昨年(2019)12月から本年(2020)2月にかけて、石油市場で買い策動が続いていたとき、「アラブ・エキストラ・ライト」のアジア向け輸出価格は「オマーンとドバイの平均値+5.80ドル」のプレミアムであった。このため、本年(2020)1月積みの「アラブ・エキストラ・ライト」の輸出価格は「64.589ドル+5.80ドル=70.389ドル」(FOB)であった。

この買い策動が破綻したあと、サウジアラビアは3月8日、「アラブ・エキストラ・ライト」4月積みの輸出価格を「オマーン原油とプラッツ・ドバイ原油の1カ月間の平均値-3.10ドル」(ディスカウント)に値下げした。原油の性状格差から言えば、軽質サワーの「アラブ・エキストラ・ライト」はドバイ原油より上です。それをドバイ原油より下に値下げしたわけです。

もし、仮に、今月の「オマーン原油」と「ドバイ原油」の1カ月間の平均価格が「25.00ドル」なら、わが国石油会社が購入する「アラブ・エキストラ・ライト」の本船渡し価格は「25.00ドル-3.10ドル=21ドル90セント」(FOB)です。1月価格の3分の1以下です。

さらにアジア向け販売価格は、5月も連続値下げとなった。「アラブ・エキストラ・ライト」5月積みのアジア向け輸出価格は「オマーンとドバイの平均価格-7.40ドル」のディスカウントです。

しかも、軽質油種も重質油種も輸出価格(FOB)が同じです。

アジア向け5月積み販売価格(本船渡し)
アラブ・エキストラ・ライト「オマーンとドバイの平均価格-7.40ドル」のディスカウント
アラブ・ライト      「オマーンとドバイの平均価格-7.30ドル」のディスカウント
アラブ・ヘビー      「オマーンとドバイの平均価格-7.40ドル」のディスカウント

もし、来月5月の「オマーンとドバイの平均値」が「30ドル」であれば、「30.00-7.40=22.60ドル」(FOB)です。「アラブ・エキストラ・ライト」も「アラブ・ヘビー」も同じ輸出価格(FOB)です。

サウジアラムコがOPECプラスの減産合意のあと、昨日4月13日(月)午後に通知した5月販売価格の値下げは、事前予想を超える値下げ幅であった。5月積みはせいぜい「前月比-2~-3ドルの範囲」と観測する向きがあったが、それを超える連続値下げを実施した。当社では、これがサウジアラビアの回答と理解しました。

このサウジアラビアのアジア向け5月ターム(期間契約原油)の連続値下げは、昨日4月13日(月)午後に伝わってきた。昨日13日(月)は、誰もが、サウジアラムコの通知を待ち受けていました。
ところが「日本経済新聞」はそれを伝えない。わが国の大手報道機関は「OPECプラスの減産」をアレコレ取り沙汰しても、肝心の販売価格(価格フォーミュラの調整項)の値下げは伝えようとしないのは不思議です。

本日4月14日(火)のTOCOM

本日14日(火)朝は、昨日13日(月)のアジア査定時間と比較して「+1ドル30セント」ほど上にあります。

為替「1ドル=107.63円」で計算した価格です。

限月           1ドル=107.63円      前日比
ドバイ原油4月限   24.75   16,750円     -1,050円安
ドバイ原油5月限   31.70   21,460円      -320円安
ドバイ原油6月限   34.40   23,290円      -160円安
ドバイ原油7月限   36.00   24,370円      +170円高
ドバイ原油8月限   37.30   25,250円      +400円高
ドバイ原油9月限   38.20   25,860円      +300円高