市況研究社

原油相場 一面観の中の戻り

更新日: 2020年6月26日(金)

米株が上昇しているとき、原油相場でも買いが追従しやすい。なぜなら、われわれの多くは、株価の上昇が社会の繁栄を示し、株価の下落が社会の危機のように考えるからです。株価の上昇が「社会の繁栄」を示すものなら、株価が上昇しているとき、原油の買いはマシな買い物のように見える。

今朝の米株高 米金融市場のニュース

それぞれ公表された時間が異なります。市場人気は気分で解釈しており、見たいものだけを見て、見たくないものは無視した可能性が高い。

(1)米東部時間 12:00  ボルカー・ルールの緩和
(2)米東部時間 16:30  ストレス・テストの結果と自社株買い等の禁止

米国東部夏時間の12時に「ボルカー・ルールの緩和」(Financial regulators modify Volcker rule)が発表され、同午後4時に「Federal Reserve Board releases results of stress tests for 2020 and additional sensitivity analyses conducted in light of the coronavirus event」が公表された。市場が反応したのは、このボルカー・ルールの緩和です。

ストレス・テストと自社株買い禁止等は、引け後の調整要素として作用しています。

午後の米株高について

米国の株価指数は、日中は不安定であったが、米連邦準備制度理事会(FRB)、通貨監督庁(OCC)、連邦預金保険公社(FDIC)が12時に、米金融機関の投資に規制を設けていたボルカー・ルールの緩和を承認したことで、金融株の上げが加速し、取引終盤にかけて大幅高となった。

(1)これにより米金融機関は、ベンチャーキャピタル(VC)ファンドへの投資を増やせるようになった。
(2)それだけでなく、金融機関は関連会社とデリバティブ取引を行う際に証拠金を確保する要件が撤廃されたことで、金融機関の手元資金が推定400億ドル(約4兆3000億円)増える可能性がある。
(3)米金融機関の収益拡大期待が高まったと解釈され、金融株に買いが集まり、上げが加速した。

米株引け後の調整

市場人気は見たいものだけを見て、買い方の攻勢に追従しているが、米FRBは午後4時30分に公表した「ストレス・テストの結果と自社株買い等の禁止」を指示する声明で、新型コロナウイルス感染のパンデミックの中で、米経済が一段と深刻な景気の落ち込みに見舞われる潜在的リスクに目を向け、先行きの不確実性に警鐘を鳴らしている。

FRBは金融機関に対するストレス・テストの結果を発表し、新型コロナウイルス感染拡大をめぐる先行き不透明感が金融機関の経営に重くのしかかっていること、米国の主要銀行は少なくとも7-9月まで増配や自社株買いを禁止した。銀行業界は年次ストレス・テストで良好な結果だったが、新型コロナ感染拡大による経済と金融システムへの影響に関する別の考察で潜在的リスクが明らかになり、配当の先行きに疑問を残したと説明した。

クオールズFRB副議長(銀行監督担当)は「銀行の状況をより集中的に評価するとともに、主要銀行に今後数カ月間は資本維持のため慎重な措置を求める行動を取っていく」とした。FRBはまた、資本計画の年内の再提出を銀行に求める。

市場人気は「ボルカー・ルールの緩和」だけを一面的に見ている。
ボルカー・ルールは2008年のリーマン危機の反省を踏まえ、オバマ前政権が2010年に整備したドッド・フランク法(金融規制改革法)の中核として盛り込まれたもの。自己資金を使ったリスクの大きい取引が金融システム不安につながったことを問題視、銀行に過度なリスクを取らせないよう、自己勘定取引やファンド投資を厳しく制限した。ボルカー・ルールは銀行に対し、プライベート・エクイティ(PE、未公開株)やベンチャーキャピタル(VC)、ヘッジファンドへの大規模投資を禁じた。今回のボルカー・ルールの緩和で10月1日から解除されるのはベンチャーキャピタル(VC)ファンドへの投資です。

金融派生商品(デリバティブ)の一種である「スワップ取引」の際に、銀行が前もって準備すべき証拠金を減らすことも承認された。米報道によると、ルール変更で米大手銀が年間約400億ドル(約4兆3000億円)確保していた証拠金が不要になるという。たしかに、今回のボルカー・ルールの緩和で経営の自由度が高まるが、しかし、FRBが新型コロナのパンデミックの中で、危機管理に手を抜くわけではない。FRBは増配や自社株買いを制限していること、今後数か月間は、主要行に対し資本維持のため慎重な措置を求める。

米株上昇と原油相場

米株が上昇しているとき、原油でも買いが追従しやすい。

われわれの多くは、株価の上昇が社会の繁栄を示し、株価の下落が社会の危機のように考える。このため株価の上昇が「社会の繁栄」を示すものなら、株価が上昇しているとき、原油の買いはマシな買い物のように見える。そういう気分が今朝の戻りであったと思います。

原油相場の買い攻勢
(1)主要国の金融緩和と景気浮揚策によって市場に余るマネーが流入し、
(2)各国の経済活動の再開をきっかけに「売り方の踏み上げ」を狙う。
(3)市場人気は大勢に追随するので、一方向に偏る。
(4)株価の上昇が社会の繁栄を示すものなら、株価が上昇しているとき、原油の買いはマシな買い物のように見える。

当社の立場と意見

攻防の中心は「3月6日」(金)と「3月9日」(月)の間のギャップと想定しています。エネルギー需要の減退が続いている限り、埋めることはないと想定しています。

「3月6日」(金)から「3月9日」(月)にかけて、罫線に空白を残して値が飛んで下げたところは、戻りのレジスタンスとして働く。当社では、このギャップは、エネルギー需要の減退が続いている限り埋めることはないと想定して臨んできました。

強気商社とファンドの買い攻勢が繰り返されても、そして、市場人気が一方向に偏り、それに追従しても、「3月6日」(金)と「3月9日」(月)の間のギャップは埋めないまま、もみあいが続くと考えています。当面の原油の戻りは<このギャップまで>と想定しています。