市況研究社

原油相場 ファイザー社のワクチン

更新日: 2020年11月10日(火)

昨日9日(月)の「日報」では、米大統領選挙の熱狂のあと「バイデン・ラリー」(ご祝儀相場)を警戒した。実際の相場では、これに「BNT162b2」の第3相臨床試験のニュースが加わった。「BNT162b2」は米製薬大手ファイザー社が独バイオ医薬ベンチャーのビオンテックと共同で開発している新型コロナワクチン。

われわれにとって原則的なこと

(1)新型コロナワクチン「BNT162b2」について
米国では新型コロナ感染者が1日あたり10万人を超すペースで増加している。米ファイザー社と独ビオンテックが共同開発した「新型コロナウイルス感染症ワクチン」の臨床試験が予想以上の好成績だとしても、ただちに何かが変わるわけではない。このワクチンが重症化や合併症を予防できるか、できた抗体がどのくらいの期間にわたって感染を防げるのか、高齢者にどれだけ有効かという疑問は残っている。重症例や死亡例を減らすためには高齢者に対して効果的なものでなければならない。そして、効果があるものでも、はじめのうちは供給量が限定されている。このワクチンで、ただちに「ジェット燃料の需要が伸びる」わけではない。バイデン氏が言うように、米国では新型コロナウイルス感染者が毎日10万人以上のペースで拡大しており、毎日1,000人以上が亡くなっており、過去最悪の水準で拡大し続けている。ワクチンが実際に使えるようになるには時間がかかり、当面はワクチンよりマスクの着用が強力な武器であり続ける。そして、目の前の対処としてはさらなる感染対策の徹底を必要としている。これが現実で、われわれの目の前にある仕事は変わらない。

(2)米連邦準備制度理事会(FRB)の金融安定性報告
米連邦準備制度理事会(FRB)は11月9日公表の金融安定性報告(FSR)で、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)による経済的影響について大半の資産はこれまでのところ、投資意欲の高まりや金融システムを支援する米政府の介入を背景に堅調な水準を維持していると指摘したが、商業用不動産はパンデミックの影響をとくに受けており、すでに価値が下落し始めており、弱さが見られるとした。FRBは、新型コロナの影響が今後数カ月で悪化した場合、主要市場の資産価格がさらに打撃を受ける可能性があると警告した。同報告はまた、ヘッジファンドのレバレッジが依然として高水準にあり、生命保険会社の負債の水準は2008年の金融危機以来見られなかった水準に達している点にも言及した。FRBは「不確実性は依然として高く、景気回復の見込みが低下するか、ウイルス抑制の進展が失望的だと判明した場合、投資家のリスクセンチメントは急速に変化する可能性がある」と分析。「エネルギーや旅行、接客業といった経済セクターは特に、パンデミック長期化の打撃を受けやすい」と付け加えた。同報告はさらに、「パンデミックが予想より長期化し、とくに開発に成功したワクチンの生産や流通の遅れが長引いた場合、米経済に下押し圧力がかかり、始まったばかりの景気回復を阻害し、金融市場を緊張させる恐れがある」と警告。「非金融ビジネスセクターの総じて高いレバレッジ水準を考えると収益低迷の長期化は金融ストレスとデフォルト(債務不履行)の引き金となりかねない」と続けた。

原油の戻り=国際原油取引の指標

原油相場の戻りについて(1)基本の高値と(2)罫線の窓の二つを指標にしています。

(1)基本の高値
本年(2020)の相場では、6月5日(金)から6月8日(月)にかけて、株式でも原油でも、市場人気が一方向に傾き、当面の価格形成においてテクニカル的に伸びきった高値をつけた。当社では、6月8日(月)高値を「基本の高値」と措定し、ここから上は「買いを維持するのが難しい」とお伝えしてきました。

ブレント原油 2021年1月限(ICE)=基本の高値 44.15ドル
ブレント原油 2021年2月限(ICE)=基本の高値 44.33ドル
ブレント原油 2021年3月限(ICE)=基本の高値 44.58ドル

(2)罫線の窓(ギャップ)
「3月6日」(金)と「3月9日」(月)の間の罫線の窓(ギャップ)も戻りを抑えています。当社では「3月6日」(金)と「3月9日」(月)の間のギャップは、当面の相場で埋めることがないとお伝えしてきました。

限月           3月9日(月)   3月6日(金)
ブレント原油2021年1月限  47.50ドル  ~ 47.73ドル

(3)ボールは下に蹴り出される
新型コロナが過去最悪のペースで拡大しているとき、ワクチンの期待感で急騰しても、実際の現実が試されると思います。当面のもみあいを続けると、ボールは下に蹴り出されてくると考えています。

為替(ドル円)

当社では、為替レート変動の重要な要因は内外金利差、さらにはそれを左右する先行きの金融政策スタンスの差と考えています。投資資金の動きは長期債よりも短期債を目安にします。見ればわかるように金利指標はヨコにもみあっています。本日11月10日(火)の為替は「1ドル=105.25-105.00-104.75円」あたりを想定します。

Daily Treasury Yield Curve Rates
       1mo 3mo 6mo 1yr 2yr 3yr 5yr 7yr 10yr 20yr 30yr
11/09(20) 0.10 0.11 0.11 0.12 0.17 0.25 0.44 0.70 0.96 1.51 1.73
11/06(20) 0.10 0.10 0.11 0.12 0.16 0.21 0.36 0.59 0.83 1.37 1.60
11/05(20) 0.09 0.10 0.10 0.12 0.14 0.18 0.33 0.56 0.79 1.32 1.54
11/04(20) 0.08 0.10 0.10 0.12 0.14 0.18 0.33 0.55 0.78 1.33 1.55
11/03(20) 0.09 0.10 0.12 0.14 0.17 0.21 0.39 0.65 0.90 1.44 1.66
11/02(20) 0.09 0.09 0.11 0.13 0.16 0.20 0.38 0.63 0.87 1.41 1.63
10/30(20) 0.08 0.09 0.11 0.13 0.14 0.19 0.38 0.64 0.88 1.43 1.65
10/29(20) 0.08 0.09 0.10 0.12 0.16 0.20 0.38 0.61 0.85 1.39 1.62

本日の中東原油(プラッツ・ドバイ原油)

(1) ブレント原油先物(ICE) 
2020年11月9日(月)
限月      始値   高値   安値  帳入値  前日比
01月限 2021  39.65  43.48  39.46  42.40  +2.95
02月限 2021  40.05  43.79  39.84  42.75  +2.91
03月限 2021  40.44  44.09  40.24  43.08  +2.86
04月限 2021  40.33  44.37  40.33  43.40  +2.81
05月限 2021  41.17  44.64  41.05  43.70  +2.75
06月限 2021  41.39  44.89  41.35  43.97  +2.68
07月限 2021  41.67  45.04  41.64  44.14  +2.60
08月限 2021  41.92  45.20  41.92  44.32  +2.52
09月限 2021  42.17  45.39  42.27  44.50  +2.45

(2)プラッツ・ドバイ原油
本日の寄り付き前の試算です。
為替は「1ドル=105.25-105.00-104.75円」あたりを想定します。

本日11月10日(火)のプラッツ・ドバイ原油の想定値
限月         想定価格  1ドル=105.10円で換算
ドバイ原油11月限   41.40ドル   省略
ドバイ原油12月限   41.64ドル   27,520円   +1,260円高
ドバイ原油01月限   41.72ドル   27,580円   +1,230円高
ドバイ原油02月限   41.92ドル   27,710円   +1,260円高
ドバイ原油03月限   42.15ドル   27,860円   +1,250円高
ドバイ原油04月限   42.40ドル   28,030円   +1,180円高