市況研究社

原油相場 「ゲームチェンジャー」の思惑

更新日: 2020年12月11日(金)

英国では12月8日から米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナワクチン接種が始まった。同ワクチンは、米国でも医療関係者などに12月14日(月)あたりから接種が始まる見込み。大手メディアは「ワクチン接種=原油市場の需要回復」と伝えている

現実は過去最悪、「ゲームチェンジャー」待望

目の前を見れば、新型コロナをめぐる状況は過去最悪、米国の新規感染者数は「1日あたり20万人」を超えた。死者数も「1日あたり3,000人」を記録した。現実が悪ければ悪いほど、市場の思惑人気は「ゲーム・チェンジャー」を待望する。

ゲーム・チェンジャー(game changer)
スポーツ試合の途中で交代で参加し、流れを一気に変えてしまう選手のこと。
そこから転じて、それまでの状況を一変させる要素を指す。

11月9日、米ファイザーと独ビオンテックのワクチン「BNT162b2」の「第3相臨床試験の最終解析において95%の有効性が示された」という発表を契機に「ワクチン=ゲーム・チェンジャー」の思惑が一気に台頭した。目の前の現実が悪ければ悪いほど、それを一夜で断ち切ってしまうような「ゲームチェンジャー」への思惑を募らせ、「ワクチン」期待にのめり込んでいく。

したがって、11月9日以降の市場で燃え上がっているのは一般的な「ワクチン期待」ではない。

「ワクチン」がこれまでの流れを断ち切り、物事を一変させる「ゲームチェンジャー」になるという「ゲームチェンジャー」期待にほかならない。

「ワクチン接種によってこれまでの流れを断ち切り、すべてが変わる」という思惑であるため、目の前の現実が悪ければ悪いほど、それを無視することができる。そういうものが人間の心の中で作用しているので、最悪の中で最高値に買い上げる原動力になっている。

 第3相試験=95%の抑制効果とは?

米ファイザーと独ビオンテックのワクチン「BNT162b2」については、11月9日に「第3相臨床試験の最終解析において95%の有効性が示された」とメーカーが発表した。米モデルナもmRNAワクチンで「94・5%の有効性」があったと発表した。

「95%の抑制効果」が確認できるのであれば、たとえば12月14日(月)に、米国人全員に対してワクチン一斉接種を実施すれば、2回目の接種のあとは1日あたり新規感染者が現在の「約20万人」から「1日あたり1万人」に抑えられることになる。しかし、現実的は「全員」「一斉」は不可能であり、現在の状況が悪ければ、ワクチン接種がすすんでもコロナ対策は長期にわたって続く可能性が高い。米国でも、一般の人達がワクチン接種ができるようになるのは来年(2021)2月あたりからになると見込まれている。一般の人達が実際に2回目の接種を終えるのは、かなり先の話だと思います。しかも、ワクチン接種を希望しない人たちも数多くいる。

95%の抑制効果があったとしても、実際のプロセスはかなり時間がかかり、社会活動の制限とその変化は今後とも続く可能性が高い。

当社では、ゲーム・チェンジャーの思惑は、ふわふわとして、たよりないものと考えています。

ワクチン接種、米国人6割

米国シンクタンクのピュー・リサーチ・センターは12月3日、新型コロナウイルスのワクチン接種などに関するアンケート結果を発表した。今回のアンケートで、新型コロナウイルスのワクチン接種について積極的に考えると回答した人は60%、消極的と回答した人は39%だった。

性別では、積極的に考えると回答した男性(67%)の割合は女性(54%)を上回った。人種別では、積極的に考えると回答した人は、アジア系が83%と最も積極的で、ヒスパニック系(63%)と白人層(61%)は半数を超えたが、黒人層は42%と半数を下回った。年齢別では、18~29歳(55%)、30~49歳(53%)、50~64歳(60%)、65歳以上(75%)と、65歳以上が最も積極的だった。また、消極的と回答した人のうち46%は、ワクチン接種が開始され、詳細な情報が得られれば、ワクチンを接種する可能性もあるとしている。

ワクチン接種を他人に先駆けて行うことに「ためらう」と回答した人は62%と、「ためらわない」(37%)を上回った。しかし、必ずワクチン接種を行うとする人に限っては、「ためらわない」が82%と多くの人が前向きだった。

新型コロナウイルスに感染した場合、重症化することを懸念する人は53%と半数に上った。人種別では、白人層は47%にとどまったが、アジア系(70%)、黒人層(65%)、ヒスパニック系(63%)は懸念する人の割合が高く、人種による違いが鮮明になった。

同アンケートでは、マスク着用についても聞いている。それによると、ここ数カ月、買い物やビジネスの場面で必ずあるいはほとんどマスクを着用したと87%の人が回答しており、米国でもマスクが定着していることを示した。また、公共の場でマスクを着用しない人に対しては、73%が「困っている」と回答した(非常に困っている49%、いくらか困っている24%)。18~29歳で68%が困っていると回答したが、年齢が上がるにつれて上昇し、65歳以上では81%だった。
(注)調査実施時期は11月18~29日。対象者は全米の成人1万3,568人で、回答者1万2,648人。

市場は「コロナ対ワクチン」一辺倒になっている。しかも、「ワクチン」を「ゲームチェンジャー」とみなす思惑人気だ。当社は実事求是(事を実にして是を求む)で臨む。