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バルチック海運指数

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バルチック海運指数

2021年9月16日(木曜日)               主要4航路平均傭船料
Baltic Exchange Dry Index    BDI 4215 (-18)
Baltic Exchange Capesize Index  BCI 6304 (-133)   $52,281(-$1,100)
Baltic Exchange Panamax Index  BPI 3852 (+52)   $34,665(+$464)
Baltic Exchange Supramax Index  BSI 3283 (+36)

2021年9月15日(水曜日)
Baltic Exchange Dry Index    BDI 4233 (+12)
Baltic Exchange Capesize Index  BCI 6437 (-37)   $53,381(-$311)
Baltic Exchange Panamax Index  BPI 3800 (+44)   $34,201(+$398)
Baltic Exchange Supramax Index  BSI 3247 (+37)

2021年9月14日(火曜日)
Baltic Exchange Dry Index    BDI 4221 (+58)
Baltic Exchange Capesize Index  BCI 6474 (+94)   $53,692(+$784)
Baltic Exchange Panamax Index  BPI 3756 (+62)   $33,803(+$554)
Baltic Exchange Supramax Index  BSI 3210 (+30)

【予備概念】ドライバルク・マーケットとバルチック海運指数
         日本シップブローカーズ協会 「ブローカーの窓」 2013年8月から転載

(a)指数の遍歴

業界の人であればこのバルチック海運指数(BDI)が海運全体を表す物ではなく不定期船のみの運賃指数であることは誰でも知っているだろう。ただその詳細はと言えば、1985年のマーケットを1000として算定していると言う事ぐらいで、その歴史とどのように作られるのか知っている人はほとんどいないと思う。1985年から約30年も経ち、船型は大型化し、荷動きやトレーディングパターンがこの最近10年でさえも劇的に変わってしまっている。

バルチック海運取引所が公表する「INDEX」も果たして実際のマーケットを表しているのか懐疑的な声も聞く。そこで「パナマックス」をメインにBDIの変遷と最近のマーケットに関して検証・考察してみたいと思う。

まず最初に1985年にBFIとして始まった頃のルートは13の航路・貨物を纏めて指数化したものだった。当時は今と違ってT/Cの航路は考慮されていなかった。

1998年に「INDEX」が細分化され「PANAMAX INDEX」(BPI)が公表された。BPI の標準船型は「船齢15年の70,000DWTで容積が300万CBFT、燃料消費はLADENで14KNOTの30MT IFO、NO DIESEL OIL AT SEA.」であった。

翌1999年には1985年より使われていたBFI(BALTIC FREIGHT INDEX)が BPI、BCI(CAPE)、BHI(HANDYMAX)を合わせた総合INDEXとして BDIに置き換えられた。

2002年にはパナマックスの大型化により、BPIの標準船型を「船齢7年未満の74000DWT、容積は89,000CBM,、燃料消費は14KNOTでBALLLAST 32MT/LADEN 38MT IFO 、NO DIESEL OIL AT SEA」に改訂され、以前の70000DWTの標準船型と区別するためにNEW BPI TYPEと呼ばれる。しかし、パナマックスの大型化は留まることを知らず、この頃すでに6000DWT.が各日本の造船所から竣工しており、また2002年は最初の「KAMSARMAX」が常石造船から竣工した年だった。

2006年にはパナマックスの VOYAGE ROUTE(賃積み)のP1(US GULF/ARA)、P2(US GULF/JAPAN)、P3(NOPAC/JAPAN)が廃止され、翌2007年から極東からCONTI向けのT/C ROUTEとしてP4が加わり4T/C主要航路となる。それぞれの航路を25%ずつ合わせたのが4T/C AVERAGEである。

2013年1月よりNEW BPI TYPEである74000DWTを76000DWTに変更する話もあったが結局先延ばしになって現在に至ってる。以上が「INDEX」の変遷である。

(b)指数の数値化

それではBDI(他のBCI/BPI/BSIも同じ)はどうやって数値化されるのだろうか? 

WIKIPEDIAで調べると「バルチック海運取引所は海運会社やブローカーなどから鉄鉱石・石炭・穀物といった乾貨物(ドライカーゴ)を運搬する外航不定期船の運賃を聞き取り、結果を取りまとめて同指数を算出、発表する。」と書かれている。実際はバルチック海運取引所に加盟している欧州の大きなブローカーショップがパネル・ブローカー(ケープサイズでは13社、パナマックスでは20社)としてその日のマーケットの数値をバルチック海運取引所に午前中に報告(パナマックスであれば、P1A, P2A,P3A,P4)、そして午後一時に公表される。

ここで問題となるのは、同じ「INDEX」とは言っても株のINDEXであるDOW JONESや日経平均株価、またはTOPIXのように実際の特定株価の売買の金額を基準としている訳でなく、あくまでのパネル・ブローカーの「意見(コメント)」により数値が作られるという点である。

元より傭船契約は厳秘扱いの「筈」であり、通常傭船契約に至るまでのOFFERまたはCOUNTERには「ALL NEGO AND EVENTUAL FIXTURE SHALL BE STRICTLY P AND C (PRIVATE AND CONFIDENTIAL)」と記述されているので、その数字を FIXTUREとしてマーケットに流布することはできない。

しかしながら、他人の成約というのは気になる物で、ブローカー同士が毎日成約の詳細を話さないながらもお互いに噂話・ゴシップなどとして情報の交換を行なっているので、どこからともなく成約の詳細がマーケットで知られることになる。各ブローカーが配信している FIXTURE REPORTも人の噂話を纏めたもので100%正しい訳ではない。しかし、マーケットを知るためには100%の正しい情報でなくてもこの手の情報は不可欠であることは誰もが知っている。

パネル・ブローカーといえども株のように毎日大量の売買がある訳ではなく、また公表されている主要4航路通りの成約がそうそうある訳でもない。さらに前述の「NEW BPI TYPE 74000DWT」の成約 などはほとんどない。そうなるとどうやって数値を報告するか?「GUESS」である。成約がなければマーケットの最前線にいるパネル・ブローカーのマーケット観が気配値になり、それが数値化され、バルチック海運取引所に報告される。バルチック海運取引所は報告された10件前後の数値を平均し「INDEX」として公表するのである。この点が株のINDEXと大きく違う所なのだが、「バルチック海運取引所の歴史」と「唯一無二と言う事」が、あたかもマーケットを代表しているかのように扱われているのである。

さてパナマックスといえども、老齢船や新造船、82000DWTのKAMSARMAXや93000DWTの燃料高消費型中国・韓国製POST PANAMAX 等、船型だけでも多種多様であり、更に最近の燃料代の高騰により、今時NEW BPI TYPEの「14KNOTでBALLLAST 32MT/LADEN 38MT IFO」など運航するオペレーターは皆無で、IFOが$600/MTを超える中で5~6MT多く消費する船の評価は$3000以上差が付いてしまう。従ってECO SPEED/SUPER ECO SPEED と呼ばれるSLOW STEAMを船主が保証出来るかどうかでも評価、傭船料は大きく変わる。トレード・パターンも複雑化しインドネシア炭・豪州炭の中国向けまたはインド向け、NOPAC 積みのインド・中東向け、または太平洋水域からの南米RV等々主要4航路にない成約も多くなってきている。これらの成約を果たしてNEW BPI TYPEに正当に評価し直しているかと言えば正直無理だと思う。様々なFACTORがありすぎる。

さらに全く成約がなくセンチメントが冷え込んでくればどうしても悲観的になりざるを得ない。成約がレポートされなければパネル・ブローカーはどうしても前日に報告した数値よりは下げてバルチック海運取引所に報告することになる。INDEXの下げ基調はこうして作られる。「成約が少ない」のは「カーゴがない」とか「マーケットが悪い」からではなく「傭船者の安いアイディア」と「船主の高いアイディア」がぶつかり合って「成約に至っていない」だけなのである。

往々にして週初めの月曜日は船主・傭船者共にマーケット情報収集のために模様眺めで成約は少ない。INDEXが下げ基調であれば言うまでもなく「傭船者は決めずに待つ」。指標となる成約が少ないまま(INDEXは毎日下げて)週中盤になり、ノミネーションの期限が迫ってくると俄に傭船活動が活発化して、船主のアイディアに近いレベルで決まる。しかしINDEXが実際のマーケットを追い越して下がっていたりすることもあるので、そんな時には翌日にINDEXが上方修正される。普段からマーケットを見ていない人達はこの修正を上昇と勘違いするかもしれないが、元々マーケットは下がっていない。

INDEXの悪い面ばかりを書いてきたが、先日のインドネシアで開かれたCOALTRANS ASIAに参加した際に、船主・オペレーターだけでなく、代理店、商社、シッパーなど様々な人達にINDEXに関しての印象を聞いてみた。MANIPULATE(操作)されているというNEGATIVEな印象を持つ人がいる反面、INDEXがあることで共通認識が保てる。スタンダードが同じ。同じスタートラインで交渉が出来る。長い目で見ればトレンドを表す。人任せ(第三者による値付け=公平である)というPOSITIVEな印象を持つ人もいた。 INDEX-LINKの傭船料であれば、マーケットが下がった時のヤラレが少ないという人もいる。

去年韓国のブローカー協会と釜山の海運集会所の人が日本シップブローカー協会を訪ね、欧州主導のBDIとは違うアジアで新しい独自の海運INDEXを作るので協力して欲しいという話があった。やはり欧州主導のDRY INDEXに対して疑問視する人達もいることは確かなようだ。 ただ個人的にはINDEXがマーケットを表すとは端から思っていないし、また複数のINDEXが存在すればマーケットに混乱を来すことになると思っている。「バカとINDEXは使いよう」と割り切り、INDEXの数値により多数の人がどのように反応するのか、連想ゲームのように考えて上手に付き合っていくことが肝要だと思う。