市況研究社

ブラジルのトウモロコシ生産

更新日: 2022年9月15日

予備概念

ひと昔前は、国際穀物市場で米国のシェアが圧倒的であった。現在は、ブラジル、アルゼンチンなど南米4カ国やウクライナなど黒海沿岸諸国の生産拡大で国際市場の構造変化が進展している。米中貿易協議で関税合戦をしているあいだに世界の農産物の需給構造は多大な変化をたどってきた。それはこのあとも続く可能性があり、あたらしい供給元が台頭し、あたらしい取引相手に取って代わられる。

ブラジルでは年間を通じて、同じ土地に2つの作物を栽培できる。夏に大豆を栽培し、大豆収穫後に第2期作トウモロコシを作付けする。中国の大豆需要が増大するにつれて、ブラジルの大豆作付面積が拡大したが、それは同時に、大豆を収穫後の第2期作トウモロコシの作付面積も拡大させた。

ブラジルのトウモロコシ作付けには第1期作(primeira safra)と第2期作(segunda safra)がある。前者は「夏作」(safra de verão)と呼ばれ,ブラジル全土で9月~12月に作付けされ,翌年の2月~5月に収穫される。とくに南部では作付け時に前年度の大豆価格とトウモロコシ価格を比較考量して作付面積を決める。第2期作は「冬作」(safra de inverno)や「サフリーニャ」(safrinha) と呼ばれ,主として中西部において大豆収穫後の2月~3月に作付けされ,同年の6月-7月に収穫される。近年、ブラジルのトウモロコシ作付面積および生産高の主体になっているのは第2期作トウモロコシ(サフリーニャ)である。

ブラジルのトウモロコシ輸出は通常、第2期作トウモロコシの収穫後、7月~12月の6カ月間に月平均400万~600万トンのペースで輸出される。

ブラジルの最大のトウモロコシ生産地であるマットグロッソ州では近年、大豆収穫後の第2期作として綿花を選択する農家もある。しかし、ブラジル生産者の多くは綿花生産に必要な機械や資本を持っていない。多くの生産者は、トウモロコシの高い収益性、商品化のしやすさ、綿花に比べて投入資金の少なさ、そして大豆と共通した生産機材を使うことができることで、大豆の収穫後は第2期作トウモロコシを選択する。

ブラジルの第1期作トウモロコシの収穫量が想定より減少する場合は、ブラジル国内の供給がタイトになり、ブラジル国内の畜産業、養鶏業で飼料用として必要とするトウモロコシはアルゼンチンやウルグアイから輸入しなければならなくなる。

ブラジルは、中国、インド、米国に次ぐ世界で第4番目の肥料消費国であり、その約80%を輸入している。トウモロコシ生産に不可欠の窒素肥料の76%、リンの55%、カリウムの94%が輸入に依存している。肥料の輸入価格が高騰し、ブラジル生産者が十分な肥料を調達できない場合、または高騰する生産コストを考慮して肥料の投入を減らす場合、第2期作トウモロコシの収量が低下するリスクがある。

関連するWeb Resources
(ⅰ)ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)
(ⅱ) 南米における河川舟運に関連する海運及び造船業に関する現況調査

2022/2023市場年度

ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)による生産状況調査。

2022/2023年度 ブラジルのトウモロコシ生産予想(単位:トン)
                    1期作    2期作    3期作
2022年10月予想  1億2694万1,500トン  2869万2,000 9627万6,800 197万2,500

2021/2022年度 ブラジルの大豆生産予想(単位:トン)
2022年10月予想  1億5235万2,200トン

2021/2022市場年度

ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)による生産状況調査。

2021/2022年度 ブラジルのトウモロコシ生産予想(単位:トン)
                    1期作    2期作    3期作
2022年10月予想  1億1280万5,200トン  2502万6,800 8562万2,400 215万6,000
2022年09月予想  1億1327万2.100トン  2497万9,700 8612万0,600 217万1,800
2022年08月予想  1億1469万1,300トン  2497万9,100 8740万6,700 230万5,600
2022年07月予想  1億1566万2,700トン  2480万4,600 8844万8,100 240万9,800
2022年06月予想  1億1522万3,100トン  2481万0,300 8801万5,800 239万6,900
2022年05月予想  1億1458万8,100トン  2467万5,800 8769万2,600 221万9,600
2022年04月予想  1億1560万2,100トン  2488万5,800 8853万5,500 218万0,700
2022年03月予想  1億1234万1,100トン  2433万1,500 8615万3,800 185万6,100
2022年02月予想  1億1234万2,800トン  2443万4,100 8605万2,800 185万6,100
2022年01月予想  1億1290万1,900トン  2478万6,500 8625万9,100 185万6,100
2021年12月予想  1億1718万1,500トン  2906万6,000 8625万9,100 185万6,100
2021年11月予想  1億1671万1,500トン  2860万0,600 8625万5,800 185万4,900

2021/2022年度 ブラジルの大豆生産予想(単位:トン)
2022年10月予想  1億2554万9,800トン
2022年09月予想  1億2555万2,300トン
2022年08月予想  1億2404万7,800トン
2022年07月予想  1億2404万7,800トン
2022年06月予想  1億2426万8,000トン
2022年05月予想  1億2382万9,500トン
2022年04月予想  1億2243万1,100トン
2022年03月予想  1億2276万9,500トン
2022年02月予想  1億2547万1,300トン
2022年01月予想  1億4049万9,600トン
2021年12月予想  1億4278万9,900トン
2021年11月予想  1億4200万9,900トン

2020/2021市場年度

ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)による生産状況調査。

2020/2021年度  ブラジルのトウモロコシ生産予想(単位:トン)
公表日      第1期作    第2期作    第3期作     合計の生産高
最終       2472万6,500  6074万1,600  162万8,500    8709万6,800トン
9月09日(2021) 2474万4,200  5947万1,500  153万3,300    8574万9,000トン
8月10日(2021) 2489万8,200  6032万2,000  143万0,100    8665万0,100トン
7月09日(2021) 2490万9,200  6697万0,500  150万4,700    9338万4,600トン
6月10日(2021) 2471万4,000  6995万7,600  171万7,300    9639万2,100トン
5月12日(2021) 2467万6,600  7979万9,400  193万7,300  1億0641万3,500トン
4月08日(2021) 2451万2,900  8260万8,100  184万4,700  1億0896万5,600トン
3月11日(2021) 2349万0,500  8280万2,300  177万5,800  1億0806万8,700トン
2月11日(2021) 2362万9,200  8007万6,600  177万5,800  1億0548万1,600トン
1月13日(2021) 2391万1,500  7676万3,300  163万8,300  1億0231万3,200トン

前年度      2568万9,600  7505万3,200  184万3,600  1億0258万6,400トン

2020/2021年度   ブラジルの大豆生産予想(単位:トン)
CONAB        作付面積(ha.)  生産高(mt)
最終        3919万5,600   1億3815万3,000トン
9月09日(2021)  3853万2,100   1億3591万2,300
8月10日(2021)  3852万9,000   1億3597万8,300
7月09日(2021)  3850万7,600   1億3591万1,700
6月10日(2021)  3850万6,700   1億3586万1,000
5月12日(2021)  3850万2,100   1億3540万8,800
4月08日(2021)  3847万3,000   1億3554万0,300
3月11日(2021)  3846万1,500   1億3513万1,600
2月11日(2021)  3826万6,300   1億3381万7,000
1月13日(2021)  3819万2,800   1億3369万2,300

前年度       3694万9,700   1億2484万4,800

2019/2020市場年度

ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)は2020年6月9日、2019/20年度(2019年10月1日~2020年9月30日)第4回目となる主要穀物の生産状況等調査結果を発表した。プラッツ社の記事から数字を拾い出したので、「千」以下が四捨五入されています。

ブラジルのトウモロコシ生産
     作付面積    5月予想      6月予想
1期作  422万1700ha  2525万2400トン→   2543万トン
2期作  1378万3000ha  7591万3300トン→   7423万トン
3期作   51万1200ha   117万1000トン→
------------------------------------------------------
           1億0233万6600トン→ 1億0099万トン
 

●2期作トウモロコシの下方修正について
6月の下方修正の理由を、プラッツ社は「The reduction in the production estimate is primarily due to irregular rainfall and severe drought in some of the key corn growing regions of Brazil.」と記しています。

●それでも史上最高記録です
ブラジルのトウモロコシ生産は「5月予想=1億0233万6600トン」から「6月予想=1億0099万トン」に下方修正されたものの、それでもブラジルにとって史上最高の生産量です。むしろ前回予想の5月が楽観的過ぎた分、6月予想で削ったとも言えます。今回の6月予想が「少ない」というわけではありません。

ブラジルの2019/2020市場年度のトウモロコシ生産予想推移
出所:ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)
2020年06月予想  1億0099万トン
2020年05月予想  1億0233万6600トン
2020年04月予想  1億0186万7900トン
2020年03月予想  1億0008万3300トン
2020年02月予想  1億0048万5900トン
2020年01月予想    9871万0600トン
2019年12月予想    9840万9300トン
2019年11月予想    9836万6100トン

ブラジルのトウモロコシ生産
出所:ブラジル国家食糧供給公社
2019/2020市場年度 1億0233万6600トン →1億0099万トン(6月予想)
2018/2019市場年度 1億0004万6300トン
2017/2018市場年度   8070万9500トン
2016/2017市場年度   9784万2800トン

現状の予想でも、ブラジルの2019/2020市場年度のトウモロコシ生産は市場最高記録です。ただ、5月予想のものすごい数字からは下方修正された。

Despite the latest downward revision to corn output, it would be still a record high as a lower yield was offset by a higher planted area.

ブラジル国家食糧供給公社(CONAB)が6月8日時点で公表したところによれば、2期作トウモロコシの収穫進捗率は「9%」であった。このブラジルの2期作トウモロコシを、わが国は飼料原料として夏から輸入します。韓国も台湾も同じです。

ブラジル産トウモロコシの需給(MT)※このあと改定します
       2016/2017    2017/2018    2018/2019    2019/2020

期初在庫   713万4,000   1786万6,200   1560万5,100
 生産量  9784万2,800   8070万9,500 1億0004万6,300
 輸 入   95万3,600    90万1,800   130万0,000
総供給量 1億0593万0,400   9947万7,500 1億1695万1,400

 消 費  5721万3,400   6005万2,000   6391万5,300
 輸 出  3085万0,800   2382万0,400   4150万0,000
期末在庫  1786万6,200   1560万5,100   1153万6,100