市況研究社

米国債利回りと為替(ドル円)

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【予備概念】

外国為替取引の中心は圧倒的に資本取引にもとづくもので、金融機関や投資家は各国通貨建ての資産の収益率やその分散を勘案しながら、また一方で、為替レートの変動を含めリスクが顕在化した場合の自らのリスク・テイク能力を勘案しながら、資産の選択を行っている。為替レートは、財・サービスの取引である経常取引の結果というよりも、そうした資産選択の結果として決まるようになっている。

2007年7月以降5年間の円高も、グローバル金融危機や欧州債務危機を反映した。

グローバル金融危機は2つのルートを通じて円高をもたらした。ひとつは安全通貨買い、もうひとつは内外金利差の縮小。

外国為替取引においては、ある通貨が絶対的に安全であるかどうかは重要ではない。市場参加者が意識するのは、他の通貨と比較した相対的な安全性である。しかも、長期的視野ではなく、当面どの通貨建ての資産に「逃げておく」ことが賢明かという選択である。世界中の投資家や企業は常にそのことを考えている。一国の外貨準備を運用する各国の政府や中央銀行も例外ではない。

投資家が安全通貨に期待する基準としては、対外交換性を有していること、金融市場がある程度の規模を備えていること、紛争が生じた時でも法の支配が貫徹していること、外貨の資金繰りにも不安がない国であることなど。

グローバル金融危機や欧州債務危機によって世界景気が後退すると、それぞれの国で金融緩和措置が講じられ、金利水準全般が低下する。日本も例外ではない。ただ大きな違いは、日本の場合は低下幅が限られていること。危機発生時点で短期金利はすでにゼロ金利制約に直面しており、低下余地はほとんど存在していなかった。

グローバル金融危機によって景気後退に陥っても、すでに日本は世界で最も低い金利水準にあり、低下余地にはおのずと限りがあった。しかも、、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策運営が「プロアクティブ」なのに対し、日本は「リアクティブ」、FRBが金融緩和に動いたとき、日銀には金利差の縮小を相殺する手段がない。国際的な金融緩和競争となったとき、内外金利差は縮小することはあっても、日本が主体的に金利差を拡大させることができなかった。

当社では、為替レート変動の重要な要因は内外金利差、それを左右する財政政策、さらには先行きの金融政策スタンスの差と考えています。

2020年12月21日以降はマンデル・フレミングの理論に基づき、米国のバイデン政権の財政支出拡大は「中長期的に米長期金利の上昇=米ドル高(円安)をもたらす」と展望しています。

米財政支出の拡大=米長期金利の上昇=米ドル高(円安)の経路に注意を向けており、それによる「米ドル建て資産価格の抑制」を追求します。

為替(y)と金利差(x)が関数(y=ax+b)で表されるとしても、市場テーマが変わるときは切片(b)が移動するので予想が難しくなります。

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